このページでは、英語の勉強を続ける方法、そして習慣にしてしまう方法について解説しています。
英語の勉強を3週間続ければ習慣になる
英語の勉強を続けたいのに、3日坊主で終わってしまう。
そんな人は、21日間だけ続けることに全力を尽くしてください。
どうにか3週間続けると、その後は楽々と継続できるようになります。
習慣化に必要な時間
「何かを習慣にしたいなら21日間続けること」
これは形成外科医のマクスウェル・マルツ氏が提唱した理論です。
手足を失った患者は、その状態を受け入れるのに誰もが1ヶ月弱かかるそうです。マルツ氏はそこに着目して、人間は同じ行動を3週間程度続けると、その行動に対する抵抗感がなくなることを報告しています。
脳科学の分野からは、「21日間にわたって同じ行動を続けると、脳のシナプス結合が十分に太くなって、抵抗がなくなる」といった説明がされます。
この21日間(3週間)というのは、多くの人の経験則にも合致していたのか、「習慣化に必要な時間」として有名になりました。
始めた頃は面倒に感じていたことでも、なんとか3週間続けてしまえば、「やることが普通」になります。
英語の勉強に抵抗がある人でも、どうにか3週間続ければ、「勉強すること自体が当たり前の日常」になるわけですね。
目標を達成するまで頑張ろうとするから続かない
私はこの「21日間」という数字に今まで何度も救われてきました。
というのも、何かをはじめるときに「とにかく3週間続けよう」と考えればいいからです。
もし、「目標を達成するまで」なんて考えたら、続けられないですよ。
たとえば、「TOEICスコア満点を獲るまで頑張ろう」なんて考えたら、たぶん学習を継続できません。何年かかるかわからないからです。
英語はすぐに上達するわけでもないので、なおさら続けるのは困難です。3日坊主で終わってしまうことでしょう。
「英語の学習を習慣にする」ことを目標にして、とにかく21日間だけ勉強してみてください。
1年も2年も頑張ろうではなく、21日間だけ。
英語の学習に抵抗感のある人は、1週間程度ではまだ学習に抵抗感が出てきてしまいます。なんとか3週間は続けましょう。
行動が楽しくなるのは、抵抗がなくなった後
楽しいことは継続できる。これは当たり前です。では、楽しくないことは継続できないでしょうか?
私は、継続しているうちに楽しくなってくると思います。
私自身の経験では、そういうことが多かったのです。
たとえば、朝のジョギング。数年前、健康のために始めようと思い立って、とりあえず何度かやってみました。
眠いし、面倒だし、退屈。すぐに挫折しそうでした。 しかし、上記で書いた「習慣化のための21日間」の理論を知っていたので、どうにか21日間続けました。
すると、ジョギングに行くのが当たり前になってきて、その頃から、徐々に気持ち良くなってきました。
今では、朝のジョギングは「生き甲斐」とさえ言えるほど大好きな時間です。心の平安を保つ「神聖な時間」だとさえ思っています。
ジョギングを始めた当初、あれほど嫌だったのが信じられません。
英語の勉強も同じではないでしょうか。
まず21日間学習する。 そして、学習にたいする抵抗感をなくす。
英語が楽しくなるのは、その先です。 抵抗がなくなって、習慣になって、楽に学習できるようになった頃から、英語がどんどん楽しくなってきます。
ですから、「楽しくないから続けられない」なんて考えず、まずは抵抗感をなくすために21日間だけやってみましょう。
英語の勉強を習慣化する3つのコツ
習慣になったものは楽に継続できます。 何気なく行動できるからです。
習慣になっていないものは、「さあ、やるぞ!」と気持ちを盛り上げなくてはなりません。
英語の勉強も同じ。 習慣にしてしまえば自然と継続できて、いつのまにか上達します。
では、どうやって英語学習を習慣化すればいいでしょうか。
1.挫折できないほど簡単なことをやる
簡単なことを毎日やることで、習慣化する方法があります。
自分の英語力よりはるかに簡単な教材を用意します。 毎日、それらの教材に目を通すようにする。
あまりに簡単なので、挫折することができない。 それほど簡単なことを継続するのです。
3週間が過ぎた頃には、英語の勉強を毎日やるのが当たり前になっていることでしょう。
おそらく、もっと張り合いのある英語学習をやりたくなるはずです。 そうなったときに、自発的な英語学習の道へ進みだせるのです。
ここで重要なポイントは、英語力を伸ばすことを考えず、学習を習慣にすることだけにエネルギーを使うことです。
ほとんどの人は、英語力を伸ばそうと焦るあまりに、難しい勉強を自分自身に強制します。 それによって、嫌々ながら英語に取り組むことになり、学習が長続きしません。
習慣化だけを視野に入れて、3週間を使ってみてください。 その後の人生は大きく変わると思いますよ。
「挫折できないほど簡単」という意味では、1日6分聞き流すだけの教材もあります。
2.時間と空間を構造化する
特定の時間と空間を「英語学習」用に用意することです。 英語の勉強だけをする時間、空間です。
- 通勤電車の中
- 仕事が終わった後で図書館に行く
- 寝る前の30分
こういった時間・場所を特定しておきます。 その時間、その場所は英語学習以外はやらないと決めておく。
こうしておくと気持ちが切り替わりやすくなります。
人間はのっぺりとした平坦な日常だと行動ができなくなるとされます。 「いつでもいい、どこでもいい」となれば、何もできない。
この時間はこれをする、この空間はこれをする、と構造化する必要があります。
ぜひ、英語学習のための時間と空間を前もって設定してください。
3.人の力を借りる
自分との約束は簡単に破ってしまうものです。 しかし、人との約束となるとそうはいきません。
そこで、他者を絡ませるのは習慣化に有用です。
英語の習得を目指す「英語仲間」がいれば最高です。 週に1度、お互いの学習状況を話し合う時間があれば、学習に張り合いがでるでしょう。
あるいは、英会話スクールのように他者が関わる学習場所も有効です。 オンライン英会話は料金が安いので考慮してください。
誰かがいるだけで、継続するのはずいぶん簡単になるものです。
「面白い」部分がないと英語の勉強は続かない
英語の勉強をしていて、面白いと感じる部分がありますか?
長期間の勉強を続けられるかどうかは、この「面白い」部分を作れるかどうかにかかっています。
面白い部分は、内容とタスクと成長の3つに分けることができます。
内容が面白い英語学習
メジャーリーグに興味のある人が、英語ニュースでメジャーリーグの記事を読む。 本人は勉強している感覚がないかも知れません。
これなどは、内容が面白くて、英語学習を継続できるパターンです。
この他にも、ストーリータイプの英会話教材で、物語の先が気になってしょうがない。こんな風に「入り込める」教材に出会うことができれば、面白いと感じながら学習できます。
興味のある分野で学習するのは、語学の王道です。
特にインプット学習では、面白いと感じられる素材を選ばないと続きません。「売れている英語教材だから」といった理由で素材を選ばずに、 自分自身が面白いと感じられる素材を探してください。
タスクが面白い英語学習
タスク(作業)が面白い学習もあります。
たとえば、英会話はどうでしょうか。 実際に誰かに会って英語を話す。
話す内容が面白かどうかよりも、話すという行為に刺激があります。 異文化の人と会って外国語を話すのは、癖になるほど面白い。そう感じる人もいることでしょう。
そのほかに、このタイプの学習としてライティングが考えられます。
面白い内容を書くことができなくても、自分が英語を書ける、ということが面白い。 シンプルな内容でも、外国語で何かを表現できるというのは、なんとも不思議な感覚を覚えます。
タスクが面白い学習は、アウトプット学習に多いですね。
成長が面白い英語学習
自分が以前より成長しているという実感をえること。 これは大きな心理的報酬です。
成長の実感が得やすい英語学習があります。
たとえば、文法学習があります。 ひとつの文法項目、ひとつの構文を学ぶ。以前より、確実にひとつの知識が増えたわけですね。
文法構文というのは、ゲーム的に知識を増やす喜びを得ることができます。 文法嫌いな人にとっては信じられないかも知れませんが、文法学習が好きだというタイプの人は少なからずいます。
ボキャブラリー学習もこれに該当するかも知れません。 自分の語彙が増えていく。これも、成長の実感が得やすい学習です。
最近はスマホのアプリ教材で、なかなか面白いものがあります。
これらの学習の延長線上には、試験英語があるかも知れません。 たとえばTOEICは、結果が合否ではなくスコアです。
勉強すればするほどスコアが伸びていく。 これをゲームのように面白いと感じている人もいるでしょう。
自分が面白いと感じているかどうかチェックしてみよう
普段、英語の勉強をしていて、「面白い」と感じているでしょうか。 自分のことを振り返って、ときどきチェックしてみた方がいいと思います。
面白いと感じていないなら、挫折する危険性が高いことを示しています。
すぐに何かを変える必要があるでしょう。
学習している教材(素材)を変えるか、タスクを変えるか、成長の実感が得られるように工夫するか。
「少しでも早く上達させたい」と焦るのではなく、「学習している時間を楽しくするにはどうするか」にエネルギーを使いましょう。
「英語の達人」と呼ばれる人の多くは、辛い学習・つまらない学習をしてきた人ではなく、面白い学習をしてきた人たちです。
マイルストーンを設定して小さな目標に全力を尽くす
マイルストーンとは、長期プロジェクトの途中に設けられた節目のことです。
英語学習も長期にわたるプロジェクトですから、途中で節目となる小目標を設定しましょう。
大きな目標を考えると途方に暮れてしまうので、それぞれの小目標に集中するのが大切です。
大きな夢は言い訳になるから小さな目標を設定する
目標を設定するときには、大きな夢があってもいいですが、節目となるマイルストーンを大量につくることが大切です。
海外の企業でバリバリ働くビジネスマンなんていう目標があってもいいですが、そこに至るための途中経過があるはずです。
そもそも、ネットで英文資料が読めて、英語の電話応対ができて、英文メールの応答ができるといったレベルから一歩一歩進んでいくしかありません。
重要なのは、小さな目標があって、そこに全力を尽くせること。 目先のマイルストーンに全力でたどり着くことです。
というのも、大きな夢は言い訳になるからです。でかい目標を立てれば立てるほど、簡単ではないからという理由で、地道な行動を軽視することになります。
大きな夢を達成するには何年もかかりますので、1年たって少しも進んでないのに、自分は何かをやっているような気分になれます。
しかし、小さな目標は言い訳ができません。さほど難しくない目先の目標にたどり着けなかったとしたら、それは何か問題があるに違いがありません。
言い訳できないようにするには、節目節目の小さな目標をたくさん設定することです。
学習する内容を前もって決めておく
朝起きた時点で、その日に学習する内容は決まっているでしょうか。
「今日は何を学習しようか?」と迷う人がけっこういます。
その日に学習することが決まっていると、学習を始めるハードルを下げることができます。
学習内容を選ぶのはエネルギーを使う
「何を勉強しようか」と迷うのは、けっこうストレスになります。 選択という行為は、それなりに精神的なエネルギーを浪費するんです。
「リスニングの教材を勉強しようか? いや、気分が乗らない。むしろリーディング素材を読む方がやる気になるかも。いや、文法もそろそろやらないと・・・」
毎日、こうやって悩んでいるようでは、精神力を浪費していることになります。 学習を始めるまでにけっこう疲れてしまうでしょう。
勉強を始めるまでに時間がかかる人は、たいていこのタイプです。
コーヒーを飲んだり、ネットを見て回ったりしながら、「何をやろうか?」と考えて、時間ばかり過ぎることになります。
やることが確定していないと、始めるまでのハードルが高くなってしまいます。
やることが決まっていれば始めるのは簡単
その日に学習する内容は、遅くとも前日までに決めておきましょう。
できれば、2週間から1ヶ月の単位で、学習する内容を決めることをおすすめします。
「今月は、A教材を毎日2ページ進める。ただし日曜日は除く。余裕があるときは、この教材に加えてB教材を1ページ進める」
このように決めてしまいます。 すると、朝起きて時点で、やることが決まっているので、「あとは、やるだけ」。 無駄に精神力を浪費せず、すんなり勉強できるようになります。
気分で学習内容を選ばない
その日に学習することが決まっていない人は、気分屋ではないでしょうか?
その瞬間にならないと、何を学習したい気分かわからない。
そう考えていませんか?
そのように、そのときそのとき気分によって学習する内容を選ぶ癖は、ぜったいに直した方がいいです。
気分を優先してしまうと、「勉強したくない気分」も許してしまいます。
人間の気分なんて、ちょっとしたことで180度変わります。 そんなものを基準にしていたら、ぜったいに学習は継続できません。
気分はどうあれ、やると決めたことを淡々とやる。 それができるかどうかは、習慣です。
毎日の暮らしている中で、自分の気分は無視して、やるべきことをやる癖をつけてください。
英語の学習記録をつける
本当の英語力をつけるためには、何年間にも及ぶ学習が必要になります。 長期戦を乗り切るために学習記録を付けてみてはいかがでしょうか。
心が折れそうなときには、学習記録が支えになってくれることでしょう。
行動に注目するから充実感がある
何かを継続するコツは、「結果」ではなく「行動」に注目することです。
結果に注目すると、それまでの長い道のりが苦しいものに変わります。 なぜなら、思い通りの結果が手に入る保証はないからです。
TOEICスコア900という目標を立ててみても、いつ達成できるか保証はありません。
そこで、毎日の行動、つまり学習量に注目します。
- 今日、学習したこと。
- 今週、学習したこと。
- 今月、学習したこと。
このような行動というのは積み重なっていきます。 学習すればするほど、確実に「学習した事実」は増えていくものです。
ですから、結果(成果)ではなく行動に注目するようにしてください。 日々、充実感をもって学習できるようになります。
(このポイントは、淡々と学習する人が伸びるに近い内容ですから、そちらもどうぞ)
記憶は無力だから記録に残す
行動量に注目するといっても、記憶に頼るべきではありません。 頭の中にある「今月はあれとこれを勉強したな」といった記憶は、充実感をもたらしてくれません。
記憶はあやふやだからです。 先月、先々月と過去にさかのぼって思い出そうとしても、おぼろげな記憶しかありません。
勉強した200日よりも、さぼった1日の方を鮮明に思い出して、自信を失うことさえあります。
目に見える形で、学習記録を残しておきましょう。
日記形式で、毎日学習したことを書く。 勉強した内容、教材、時間などを簡単に書いておくといいでしょう。
個人的には、単なる学習記録よりも、「気づいたこと、気分、決意」を加えていました。普通の日記に近いものです。
記録するのは5分程度で済むことです。その5分の積み重ねが一生の自信となる「学習記録」をもたらしてくれます。
クラウドに記録を残すのがベスト
記録するメディアは手帳でもいいし、スマホやPCを使うことができます。
個人的には、スマホかPCに書くことをお勧めします。とりわけ、エバーノートのようなクラウドをお勧めします。
クラウドには以下のメリットがあります。
- 保存するのが簡単 (=ネットにつながっていれば、どこでも簡単に記録できる)
- 管理が簡単 (=紛失の心配もなく、置き場所の問題がない)
- 検索がしやすい (=記録を見返すのが容易)
10年20年という単位でも気軽に残すことができます。
もちろん、これは人それぞれなので、自分に合った記録方法を探してください。
教材を残すのは中級程度まで
学習記録を残すという意味では、学習が終わった教材を本棚に残しておくのも手です。 すぐに目に見える形で、今まで自分が学習した教材が並んでいる。
学習を続けるごとにたまっていくので、自信になることでしょう。 ときどきペラペラめくって復習する気になるので、英語力の向上にも役立ちます。
しかしながら、この方法は廃れていくような気がします。
第一に、これからはデジタル形式の教材が増えていくからです。
書籍や雑誌形式ではなく、ネットサービスとかアプリで学習する機会が増えることでしょう。本棚に残すというわけにはいきません。
第二に、中級レベル以上になると、「教材」という形で学習する機会に加えて、ネットで海外のサイトを見ることも増えます。
英語の学習と日常生活がどんどん近づいていくようになります。「教材で勉強する」という感覚は徐々になくなっていくのです。教材を記録として残すわけにはいきません。
やはり学習記録をつけるのが一番確実だと思います。