ディクテーションの学習法

このページでは、英語の学習メソッドである「ディクテーション」について、学習法・コツ・注意点などを解説しています。

ディクテーションのやり方

ディクテーション ( dictation ) とは、「書き取り」のことです。 英語の音声を聞いて、その内容をテキストに書く練習法のことを指します。

同時通訳者を目指す人が練習するメソッドとしても有名で、音声を確実に聞き取る練習になります。

やり方は簡単で、音声とテキストがあればすぐにできます。 要するに、音声を聞いて、聞き取った内容を書くだけです。

ディクテーションの手順

  1. ネイティブ音声と英文テキストがセットになった素材(英語教材)を用意する。
  2. 一度の学習で書き取る文章は少なめに。通常は1センテンスだけ
  3. 音声を何度も聞く。もちろん英文テキスト(つまり正解)を見てはいけません。
  4. 聞き取れた部分を書き出していく。パソコンでタイプしてもOKです。
  5. 何度も聞いて、聞き取れない部分を聞き取ろうと努力してください。
  6. ほぼテキストを再現できたと思ったら、終了。(あるいは聞き取れない部分は降参)
  7. 正解のテキストを見ながら、間違った部分や聞き取れなかった部分を確認してください。
  8. テキストを見ながら音声を聞いて、「なんでここが聞き取れなかったのか!(書き取れなかったのか!)」と悔しがりながら復習してください。
  9. 最後に、テキストを見ないで、もう一度音声を聞いてみてください。妙にはっきり聞き取れるようになっているはず。

一度だけ音声を聞いて、それを正確に文字に起こすのはさすがに無理です。日本語でも難しいかも。

ですから、音声を何度も何度も聞くことになるでしょう。 時間があっという間に過ぎ去ってしまいます。 ディクテーションをやっていると、30分や1時間の英語学習なんてあっという間です。

スペルは間違ってもいい

ディクテーションをやると誰でも戸惑うのは、「書き取ろうとしたときに英単語のスペル(綴り)に自信がない」ということ。

適当でいいです(笑。 わからないものはわからないわけで。

最後に、正解のテキストを見ながら、スペルも確認してください。 ディクテーションをやっているとスペルもしっかり覚えられます。

今の時代、ワードでも自動校正が付いていて、スペルが苦手でも困ることはありません。ただし、やはりスペルをわかっていると、英語の音と綴りの関係を把握できるようになります。

ディクテーションはスペルをしっかり覚えられる効果もありますので、ライティング学習のときに「ディクテーションをやっていて良かった」と思います。

なぜディクテーションがそれほど重要か

ディクテーションの目的は、英語を音から覚えることに他なりません。

通常、外国語として英語を学ぶときには、英文テキストから入ってしまうわけです。 英語学習のときに、常に英文を見ているわけですね。

そうなると、英語を音として把握する能力が身に付かないのです。

いきなり英語圏に行って、英会話を強引に身に付けていったケースなどは音に強くなっていますが、日本の英語学習者は音がどうしても苦手になってしまうのです。

そこで、最初から音だけを聞いて、それを聞き取って、英語として理解する練習が有効になります

初級者の方などは、ディクテーションをやる前は、英文を驚くほどローマ字読みで適当な音として把握しているものです。テキストで見せられれば簡単な英語でも、音声だけで聞き取るとなるとわからないことが多いです。

ディクテーションは、必ず経験しておきたい学習法です。

中学校や高校でも必ず取り入れて欲しい練習法です。 音読はどの学校でも当たり前にやっているはずですが、ディクテーションの普及はこれからですね。

ディクテーションの効果

ディクテーションは、聞こえてくる英語の音声を書き取るトレーニングです。 音読、シャドーイングの次くらいに有名な学習メソッドですね。

ディクテーションにはどんなメリットがあるでしょうか。

完全に聞き取る癖をつける

ディクテーションは負荷の大きいトレーニングです。 流れていく音声を文字で完全に再現しなくてはなりません。

聞こえてきた単語を書いて終わりではないんです。 完全に、文章の形で書き取ることを目指します。

“Scientists estimate that smoking reduces life expectancy by around 12 years on average.”

この英語をディクテーションするとしましょう。

初級レベルの方は、ごく一部だけしか聞き取れないかも知れません。

Scientist ,,,, smoking ,,, expectancy ,,, average.

要するに、聞こえた単語をつなげて、なんとか意味をとろうとしがちなんです。 しかし、そんな適当なリスニングでは、いつまでたっても英語力はつきません。

聞こえた単語をつなげようとするのではなく、完全に聞き取るように努力することが先決です。

実は、そのために有効なトレーニングは、ディクテーション以外にあまり見当たりません。

ディクテーションの練習によって、単語をつなげる癖を直して、文章として聞き取れるようになります。

リスニングは総合力

何度も上記の英語を聞いて、完全に書き取ろうとすれば、徐々に聞き取れる部分が増えていきます。

Scientist estimate smoking reduces expectancy 12 years average

まだ、弱く発音される部分は聞き取れない状態です。 単複、同格のthat、前置詞、など。

完全に聞き取るためには、単にリスニングの問題ではありません。 文法構文の力がないと、estimateにthatが続くことが予測できない。

音だけを頼りに聞き取るのは無理があるんです。 通常は、自分の文法力よりハイレベルの英文は書き取れない。

また、単純にボキャブラリーが足りないと、by around とか on average などの聞き取りは難しいでしょう。音が連結しながら流して発音されるからです。

by around は「バイ アラウンド」なんて発音されません。「バラン」みたいな感じです。 ボキャブラリーを知っていて、しかもその音声に慣れていないと書き取れないですね。

ディクテーションによって、発音の特徴にも注意が向くようになります。

このように、ディクテーションによって、文法構文、ボキャブラリー、発音など、すべての実力が問われます。

リスニングが難しい理由

英文で読むときには、1つ1つの単語が文字で過不足なく表示されます。自分のスピードでじっくり読むことができる。

しかし、発声される場合には、音が消失したり連結する上に、発話者のスピードで話されて、音声は次々消えていきます

リスニングを苦手とする人が多いのも当然です。

リーディングの場合は、単語の暗記だけを熱心にやったような人でも、それなりに英文を読めたりします。

リスニングは上記で書いたように、総合的なスキルが備わっていないと聞き取ることができません。

自分の未熟さを痛感することになりますので、さまざまなスキルをトータルで勉強する意欲が出てきます。文法が嫌いだった人、発音練習が面倒だった人も、目の色を変えて勉強するようになったりしますよ。

わからない部分に執着する癖がなくなる

リーディングでもリスニングでも言えることですが、1つでもわからない部分があると、そこに執着してしまう人がいます。

内容を完全に理解しないと前に進まない人。 英文を1文1文和訳する人に多いです。

リスニングも同様で、意味を完全に理解しないと、絶対に前に進まない人がいます。

“Scientists estimate that..”

と流れたときに、estimate がわからなかったとしましょう。

すると、そのわからない1語に気持ちが拘束されて、その後の、

“… smoking reduces life expectancy by around 12 years on average.”

の部分がまったく耳に入ってこなくなってしまう。 このタイプはけっこう多いです。

ディクテーションするためには、「1つの単語がわからないので、その後の英語を聞き取るつもりはありません」なんて、通用しません。

わからない部分があったにしても、残りの英語を書き取れるように努力します

Scientists (  ) that smoking reduces life expectancy by around 12 years on average.”

と書き取れなくてはいけません。

ということで、ディクテーションによって、わからない部分に固執する癖が直ってきます。

わからない単語があったにしても、なんとか全体を聞き取ろうと意識が向くようになりますよ。

覚えておく練習にもなる

音声というのは、文字と違って、どんどん消えていきます。

文字は何度も見ることができますよね。

Scientists estimate that smoking reduces life expectancy by around 12 years on average.

何度でも、じっくり、自分のペースで読むことができるんです。

「ふむふむ、科学者は見積もっていると。喫煙は余命を減らす、平均で12年間。なるほど。こんな話は聞いたことはあるなあ」

こんな感じで、まったりと英文を読んでいるケースがあります。

しかし、音声は、聞こえたそばから消えていきます。

ですから、英語の音声をそのまま覚えておかなくてはなりません。これが初級から中級のうちは大変なことなんです。

ほんの2,3語でさえ覚えておけない。

“Scientists estimate that …” と音声が流れて、次に

“.. smoking reduces ” と流れたとたんに、最初の

“Scientists estimate that …”が頭から消えてしまうんです。

笑い話のようですが、最初のうちはそんな感じです。 初級レベルのうちは英語の内容を覚えておけない。

ですから、ディクテーションするフレーズは、何度も聞くことになるでしょう。 それこそ50回とか。

もちろん、実力がつくにしたがって、聞く数回はどんどん減っていきます。

ディクテーションを繰り返すことで、英語をそのまま覚えておく練習をすることになります。

ちなみに、1回聞いて覚えるためには、イメージ化が必要です。

このブログで何度も書いてきましたが、音読シャドーイングは音声をイメージ化するトレーニングです。

ですから、音読やシャドーイングをしっかり積み重ねた人は、英文を覚えやすくてディクテーションの上達も早いことになります。

ディクテーションに適した英文のレベル

ディクテーションで使う英文は、どのくらいのレベルが適切でしょうか。 6割から7割くらい聞き取れる英語の音声を使うことをお勧めします。

大筋が聞き取れないような英語を使うべきではありません。

ディクテーションは細部を聞き取る

ディクテーションは英語の音声を文字で再現するトレーニングです。

冠詞、時制の変化、前置詞、関係詞など、聞き取り難い部分も含めて再現することになるわけです。細部を聞き取ることになります。

もちろん、細部の音は省略されたり連結されるので、音として聴こえたかどうかよりも、英語の構造をしっかり聞き取れているかが問われます。

たとえば、「当然ここに前置詞があるはずだ」と想定できるからこそ、書き取れることになります。

ディクテーションがこのように細部を聞き取るトレーニングであることを考えると、大筋も聞き取れない英文を使うのは適切ではありません。

何度か聞いて、主語や動詞もつかめない。知らない単語や表現ばかりで、意味も大筋もわからない。そんな英文はディクテーションに向いていません。

6割ほど聞き取れる英文を使う

ディクテーションで使う英文は、6割から7割がわかるレベルが適切です。 3分の2くらいはわかる英語で、残りの3分の1をしっかり聞き取るイメージです。

「6割くらい」といっても抽象的ですが、何度か聞けば大筋の意味はわかるような英文です。そのフレーズのコアになっている語彙は聞き取れなくてはなりません。

違う言い方をするなら、「ディクテーションをしたくなる英文」です。 6割から7割聞き取れると、あともう少しで完全に聞き取れる気がして、繰り返し聞きたくなる

この段階でディクテーションをするのがベストでしょう。

6割ほども聞き取れないような英語は、根本的にリスニング力が足りないことになります。音読(含むオーバーラッピング)やシャドーイングといった練習が先になるでしょう。

ディクテーションの教材選びはけっこう難しい

ディクテーションをどの教材で学習すればいいのか、迷うことが多いと思います。1センテンスの音声を繰り返し何度も聴くことになりますので、簡単に繰り返せる教材でないと面倒だからです。

ディクテーションのやり方でもご説明しましたが、ディクテーションというのは、少ないセンテンスの英語を繰り返し聞くことになります。

そのため、長い英文のごく一部をディクテーションするのは適切ではありません。 その部分の音声を繰り返し聞くのが面倒だからです。

できれば、クリック1回で何度も繰り返せるような教材が望ましいです。

音声CDであれば、1センテンスが1区切りになっていて、再生ボタンを押すだけでそのセンテンスだけを繰り返せるような教材でなくてはなりません。

となると、通常使っている教材では難しいわけです。 たとえば、NHKラジオ英語講座のような教材でやろうとしても、センテンス毎の音声リピートが難しいと思います。

おすすめは、ディクテーション学習機能のあるアプリ教材です。

リクルートのスタディサプリは、パソコンやスマホで学習するドラマ形式の英語教材ですが、ディクテーション機能があります。

→ スタディサプリ ENGLISH

こういったアプリ教材なら、ストレスなく学習できるのでお勧めできます。

普段使っている教材でディクテーションをやろうとしても、ピンポイントの再生ができなくて、嫌になると思います。

思い出すのは、私が高校時代のことです。 ずいぶん昔のことです。

この時代、音声機器といえば、テープとCDが半々だった時代です。 (年齢がばれてしまいますね)

この当時からディクテーションという学習法自体は知っていましたので、英語科目に力を入れていた私は、テープでやっていました。

1センテンスを流す。テープで戻す。また流す。この繰り返しです。 問題は、ちょうどセンテンスの最初まで戻すのが難しいのです。

キュルキュルと3秒くらい巻き戻して、このあたりかなと目星を付けて、再生する。 するともっと前のセンテンスまで戻ってしまっていたり、逆に、そのセンテンスの途中で再生してしまったり。

当時はこれが当然だったので、「しょうがないな」と思っていました。 便利な時代になった今では耐えられないですが。

効率的に学習するには、やはり1センテンスの再生が容易にできる教材を用意したいですね。

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