このページでは、発音の学習法を解説しています。
小学校でローマ字を学ぶと発音に悪影響が出る
日本の小学校では、4年生でローマ字を学ぶことになっています。
私が子供の頃からそうでしたが、今でも同じだと聞きました。
このローマ字というのが曲者で、英語の発音習得にすごく悪影響があるのです。
文字と音が一対一対応するという思い込み
ローマ字というのは、ご存知のようにアルファベット(ラテン文字)で日本語を表記するものです。
東京 : Tokyo
鈴木一郎 : Suzuki Ichiro
地名や人名など日本固有のものをアルファベットで表記できるわけです。
漢字やひらがなが読めない英米人でも、日本語の音を理解できるわけですね。
このローマ字をなぜ小学校のときに学ぶのか。 おそらく、親しみやすいからだと思います。
いきなり英語を勉強するより、日本のものをアルファベットで表記することからはじめる。 その方が、よりスムーズに英語に入っていけるという狙いでしょう。
しかし、それが罠です。
ローマ字を学ぶことにより、小学生はある思い込みを持つようになります。
英語も日本語と同様に、文字と音声は一対一で対応するのだという思い込み。
日本語で、「あ」と表記されれば、常に「あ」としか読みません。 しかし、英語で a と表記されていても、単語によって読み方が変わります。
cat , car , father , aid , auto, about …
すべて、a の発音は異なります。
しかし、ローマ字を最初に学んでしまうと、音と文字は対応するという強固な思い込みが形成されてしまうのです。
英語を学び始めれば、「そうではない」と知ることになります。
しかし、小学校4年、10歳のときに形成されてしまった強固な思い込みを消すのがけっこう大変です。その思い込みは無意識に滞留して、英語の発音がどこまでも苦手になってきます。
たとえば、最初に習う挨拶で、Good Morning. があります。
ローマ字の思い込みを引きずっていると、どうしても「グッド・モーニング」と発音したくなるわけですね。
思い込みのない人が、素直に音から学習していれば、「グッ モーニン」と聞こえるし、そのように発音できるようになるのです。
音の連結にしても、Did you をごく普通に「ディジュー」といえるわけです。 難しくもなんともない。
しかし、ローマ字の思い込みがあると、音が連結することが難しいことに思えてくる。
ローマ字を最初に学んでしまった以上、「音と文字は常に一対一で対応する」という思い込みをもってしまっています。
英語の発音を意識的に勉強することで、思い込みをはずしていく必要性があるのです。
発音練習をやらない人が多すぎる件
英語の発音練習をやったことがありますか?
私が知り合った学習者さん(生徒さん)などの例から考えると、かなり少ないと思います。
なんで発音練習をやらないのか?について考えてみます。 発音練習をすることで、どんなメリットがあるかについても。
学校の先生も発音が苦手
小学校で英語の授業がはじまっていますが、以前は中学1年生から英語科目が始まりました。
最初の習い始めのときに、みなさんはどれだけ発音を習ったでしょうか。 おそらく、「記憶にないほど少しだけ」だと思います。
学校の先生は、発音練習に消極的な人が多いのです。
おそらく、その先生自身が、あまり発音練習をやってこなかったのでしょう。
だから発音に自信がない。 当然ながら、自分が下手なので生徒にも教えられない。教えるのに気が引ける。
気持ちはわかりますが、英語教師としてはちょっと問題です。 発音が苦手な英語教師の方々には開き直ってもらって、 「先生の発音はいまいちだから、お前らは上手くなれよ~」 と言ってあげてほしいですね。
模範の発音は、ネイティブのCD音声を使えばいいだけです。
英語の使用機会がないのも大きい
独学で英語を学ぶときも、発音練習をやらない人が多いです。
その理由は、英会話の機会がないからだと思います。 発音が上手くても下手でも、しゃべることがないのだから関係がない。
音読学習のように声に出す練習は普及していますが、付属のネイティブ音声を模範にして、声に出すだけ。
自分の発音が相手に通じるかどうか、という視点がありません。
英会話の機会があれば、発音が上達することで通じやすくなります。 下手だとやっぱり聞き返されることが多くなる。
学習する気になります。
ちょっと上手くなると、ネイティブから発音を褒められることも多くなりますので、ますます発音に気を使うようになる。
英語を使うシーンがない人にとっては、発音練習の敷居が高いわけですね。
ということで、学校でもほとんど教えてもらえない。独学でもやる気がしない。 となれば、発音練習をやらない人が多いのは当然かも知れません。
なんで発音練習をした方がよいか
やっぱり発音は一生懸命やった方がいいです。
なぜか? 2つ理由があります。
1つ目は、自信をつけるためです。
英語を話すときに、自信をもつことができます。
コテコテの日本人英語でも気にならない図太い人ならともかく、発音が下手な人はほとんどの人がちょっと恥ずかしそうに英語を口にするんですね。
音読やシャドーイングをやっていれば、それなりに通じる発音だったりするのですが、本人はどうしても自信がない。
発音練習をやっていないから、いつまでたっても発音に気後れというか、恥ずかしさがつきまとってしまうようです。
ですから、とにかく堂々と英語を口にできる程度には、発音練習をやった方がいいです。
2つ目の理由。
それは、やっぱり、下手な発音は通じないからです。
まず、日本語は母音、子音の数が少ない言語です。
英語の母音は25以上ですが、日本語は5つ。 英語の子音は同じく25程度されていますが、日本語が14くらいです。
(注:母音、子音の数というのは、明確な数があるわけではありません。「同じ音と数えるかどうか」は研究者によって解釈が異なるからです。また、方言の多様性という問題もあります。ただし、日本語が英語に比べて極端に少ないことは疑いありません)
よって、日本語ネイティブの人は、英語の発音が難しいのです。 相手に通じる程度に発音するためにも、練習が必要となります。
発音練習を勧めると、以下の反論が返ってきそうです。
- 英語は世界中で話されていて、非ネイティブの人同士で話すことも多い。お互い訛りのある英語なので気にする必要はない。
- 通じる英語のためにはアクセントとイントネーションが大切であって、個々の発音の正確さを気にする必要はない。
- そもそも、英語は外国語なのだから、発音が下手でも関係ない。相手だって日本語を話せばデタラメな発音になるのだからお互い様。
これらの反論はどれもその通り。
そのうえで、やっぱり、私たちは発音は練習するべきです。 実際、海外旅行にいったときも、発音を練習したとたんに、”Ha?”と聞き返されることがめっきり減ります。
つまり、それだけ日本人の英語は訛りがキツイんです。
極端に上手くなる必要はありませんが、最低限の発音練習は、お互いのストレス軽減のためにも必要です。
ということで、自信をつけるため、そして通じる英語のために、発音練習はやっておきましょう。 英語を話すのが楽しくなりますよ。
最初に知識として知っていることが大切
音読やオーバーラッピングのときに、できるだけネイティブの発音を真似ようと意識することが大切です。
しかし、日本語はもともと母音・子音の数が少ないので、音の出し方がわからないはずです。
“l” と “r” の発音は、舌がどの部分にあるかを知らないと発音できません。ネイティブの英語を聞いても、音を近づけることさえ難しいのです。
最初に、発音のやり方を学んでおいた方がいいです。
発音教材は何でもいい
いわゆる書籍の発音教材は、どれも似たようなものです。口の形や舌の位置を解説して、英単語で実践練習するようになっています。
ネットでも無料の発音練習サイトがあります。
→ 英語発音入門
母音・子音の出し方を一通り学んでおきましょう。完璧にマスターする必要はありません。おおよその知識としておさえてあるだけでいいのです。
1週間くらいで、一通りの発音のやり方を覚えてしまう。その後、音読、オーバーラッピングといった声に出す練習をやるたびに発音の実力は向上します。